はじめに

前回簡単にお話させて頂いたのは、アルカスイス互換のクランプとプレートについて基本的なものでしたが、今回はアルカスイス互換へのやり方と実際に私がどのような物をどのように使っているか、写真を交えてお話していきたいと思います。

前回の記事はこちら

 

アルカスイス互換化

アルカスイス互換というのは便利そうだけど、自分の機材構成をどうやってアルカスイス互換にすればいいか分からないという方も少なくないと思いますが条件としては、

  • 雲台から台座(自社規格クイックリリース)が外せるか。
  • アルカスイス互換クランプの裏側の形状が雲台側と合うか。
  • 雲台のボールにM6もしくは1/4インチのネジ穴があるか。3way雲台の場合は雲台側のネジ穴(ボルト)とアルカスイスクランプ側のネジ穴位置が合っていないと付けた時にカメラのセンターが極端にずれてしまう事もある。
  • 雲台のボールにねじ込むM6もしくは1/4インチの皿ネジの頭が埋まるようにアルカスイス互換クランプにザグリ加工がされているか。
  • 雲台のボールから1/4インチのボルトが出ているタイプならばアルカスイス互換クランプに1/4インチのネジ穴もしくは1/4→3/8変換プラグが付けられるか。

大体こんな感じです。

尚、割りと使用者も多いManfrottoの雲台にはアルカスイス互換のクランプへ変換出来るようにするベースが社外品として売られていますので、そちらを利用するのも良いでしょう。

 

交換方法

  お手持ちの三脚から雲台を外し、アルカスイス互換の雲台とプレートごとそっくり交換してしまう方法。(雲台とプレートがセットになっているものもありす。)

しっかりした耐荷重に余裕があり操作性の良い雲台は決してお安くはないので躊躇されるかもしれませんが、新しい雲台で気持ちもリフレッシュいたしますし交換作業も難しくなく至ってシンプルです。

 

  雲台は使い慣れたものが良いのでこのまま使い、アルカスイス互換のクランプとプレートだけ交換したい。

という方には雲台と台座(自社規格クイックリリース)を止めている上部のボルトを外し、新たに購入したアルカスイス互換のクランプを元々ついていたボルトのネジピッチと同じタイプのボルトで止める。

(分解行為によりメーカー保証や修理の対象外になることもありますし、特殊な形状の為一般的なクランプが付かない場合もあるのでご注意)

メーカーによってはボルトがとても固くて舐めそうな場合がありますが、それは緩み止剤(ボルトの接着剤のようなもの)がガッチリ効いているので、その効力を絶たなければ緩みません。

そういった場合どうすれば効果的かと言いますと…

ズバリ!「熱を加える。」

小物細工用のガストーチやハンダゴテ等でボルトの頭を局所的に加熱することで周囲の部品を傷めず、ねじ山に散布されていた緩み止剤を柔らかくすることが出来て舐めずに外せます。(周囲に樹脂やゴムなど熱の影響を受けるものがある場合は不向き)

 

  自分ではのような作業は難しいという方はもっと簡単に。

元々ついているクイックシュー(カメラ側に付ける板)の三脚ネジにカメラではなくアルカスイス互換のクランプを付けて、それを雲台に乗せる。(場合によってはボルトサイズ1/4⇔3/8変換パーツが必要)

カメラの脱着はアルカスイス互換側で行い、元々ついているクイックリリースのシューは雲台に残ったままで。

但し、の方法はよくあるクイックシュー側に付くゴムやコルクによってアルカスイス互換のダイレクト感が薄れてしまいブレやたわみの原因になりやすいのであまりお勧めできません。

 

アルカスイス互換化後 次のステップ

私の場合ですと、機材はほぼアルカスイス互換のメス側(クランプ)とオス側(プレート)の組み合わせで構成しており、全ての三脚の頭は下の写真のようにメス側(クランプ)にしておき、大中小の各雲台、パノラマ用、ジンバル用、赤道儀用など様々な用途へ瞬時に付け替えられるようにしています。

 

3/8インチネジの雲台取り付け穴を使い、プレートもしくはクランプを直付けしておくと、重量と高さは少々増しますが脱着は容易になります。

また、雲台をバーに乗せてカメラを2台にする場合にもわざわざバーの裏側からボルトを締めたり緩めたりすることも無くクランプのノブを少し緩めるだけで左右に簡単にスライド出来るので2台の重量バランス調整が格段にしやすくなります。

これは是非とも押さえておきたいポイントです。

 

なかなか雲台の底部に合ったプレートは売っていないのですが、見た目と一体感を重視して円形タイプで。

 

雲台の底部にプレートを着けることでメイン三脚の大型雲台もレベリング上にあるレバーの開閉だけで簡単に脱着出来ます。

 

外した大型雲台を小型三脚に。
これはあくまでも「こんなことが出来ます。」という例なので、実際の使用においてはトップヘビーで重量バランスが悪くならないように、三脚に見合った重量と大きさの雲台を使いましょう。

 

 

全天球パノラマ撮影モード

バー(スライドレール)とパンニングクランプ(パノラマクランプ)とローテーターで構成した簡易的な全天球パノラマ撮影モード。

バー(スライドレール)はカメラの大きさや重量に合わせチョイスします。
特に垂直になっている接続部に相当なねじれ負荷が掛かるので、購入にあたってはその辺りも考慮しなければなりません。

カメラを取り付ける垂直方向にあるパンニングクランプ(パノラマクランプ)も上と同様にかなりねじれ方向と回転方向の負荷が掛かります。
安価な物は回転方向の保持力も極端に乏しく、ねじれによるがたつきとベアリングが入っていない構造上滑らかな回転は望めないので重量級の機材には不向きです。

 

ポータブル赤道儀モード

ポータブル赤道儀の機材をアルカスイス互換のみの仕様で構成。

本来は赤道儀メーカーから出ているオプション品を使うのが簡単で手っ取り早いのですが、精度も良くなくガタもある上にそこそこな金額です。
しかもそれ以外の目的に流用できない品物にあまり魅力は感じない自分としては、やはりアルカスイス互換の仕様で構成するのがベター。

微ブレ対策の課題がまだ残っているテスト段階の仕様ですので、御紹介するのをちょっと躊躇いましたがこの際ですので。

アルカスイス互換の端部にクランプが付いたバー(スライドレール)を使うことで雲台の取り付け位置を変えられ構図の自由度が増しました。
今までだったら無くてもそれ程問題なかったのですが、この仕様では雲台の位置が上方に変り今まで以上に重心も偏ってるので、バー(スライドレール)を使ってバランスウエイトを取り付けてみました。

このウエイトにもアルカスイス互換のクランプを直接付けているので脱着は勿論のこと、カメラや使うレンズの重さに応じてのウエイトの位置も簡単にスライドさせて調整できます。

バー(スライドレール)をジョイントさせて延長させればより軽いウエイトでもバランスを取ることが出来ますが、モーメントを考慮すると長すぎるのも問題。
それにあまり部品点数を増やし接続箇所が増えるのもブレの要因となるし、一本物の長いバーを用意したとしても携行性は落ちてしまうのでどの辺で折り合いを着けるかというところも課題です。

 

レンズサポーターモード

遠景パノラマ撮影でよく使う古いレンズなんですが、三脚座のみで支持していると、パノラマでパンさせる時にマウントの僅かな遊びで水平がずれる事も多かったのですが、手持の機材を寄せ集めて三点支持に。

縦構図、横構図でプレートの位置が変わるので使用するクランプも変えて高さ調整が必要です。
わざわざ付け替えなければならない点がネックなんですが、使うレンズ、ボディ毎でも変わってくることなので仕方が無い。

もっと大きな望遠レンズでの構成ならバーの長さとボディ位置のバランスは良いのでレンズフード側と同じL型にしてボディの底に当たるようにスライド調整させれば良いと思います。

この写真では高さを調整するのに三脚座と下のバーの間に更に短いバーを入れているところが見た目的にも重量的にも無駄なので、今後は別のもので代用を考えてます。
例えばLプレートでの縦構図でケーブルを処理するスペーサーなど。

 

アーム状にしてロー&ワイドアングルモード

滅多に無いのですが、三脚の中心軸よりかなり離れた所までカメラを寄せたい状況ではこのようにバー(スライドレール)を組み合わせて使うことも。
但し、長く重くなればなる程モーメントが働きブレやすいので、バー(スライドレール)の長さと先端に掛かる重量は注意が必要です。

赤道儀で使うバランスウエイトをカメラと反対側に配置することでカメラとレンズの自重で三脚が転倒してしまう危険を低減させることが出来ます。

現状は手持の機材でどれだけ使いまわせるかをテーマに構成していますのでこのようにバーを三段階にジョイントさせていますが、今後はバー(スライドレール)のジョイント数を減らすか剛性の高い一本物を使用するかで考えています。

 

マルチカメラモード

そしてこれは…  あくまでも構成としては可能です。という例であって、普段このように撮影してはいませんが、混み合う人気のスポットで三脚を複数設置する行為が迷惑になる場合とか、絶対逃したくない瞬間を異なる構図や画角で狙う時には良いかもしれません。

しかし、かなりの重量になりますので、各部の耐荷重とバランスを考慮し、丈夫な大型の三脚で信頼あるメーカーの物で構成したほうが良いでしょう。
それでもブレにはかなりシビアですので、シャッターを切る方法とタイミングにも注意が必要です。

三脚の耐荷重を考慮し、なるべくブレないように、かつ操作性が犠牲にならないように、バランスよく構成していくのも楽しいものです。

 

撮影風景

レベリング(水平出し)機材にパノラマ撮影用(横方向のみ)のローテーターを取り付け。

 

長短二つのバーを使いサブ機との2台乗せ&パノラマのノーダルポイント出し。

 

長短二つのバーを使いサブ機との2台乗せ&望遠レンズ、パノラマ撮影のノーダルポイント出し。

 

ひとつのバーで上下にカメラを取り付けるという変則的なパターン。

 

赤道儀を乗せ天の川を撮影中。
赤道儀を乗せると場合によっては重心がかなり上方へ偏りモーメントが働きとてもブレやすくなります。
この時の仕様は過去のものですが、その時の経験を活かし現在に至る。

 

まとめ

このようにひとつの三脚で被写体に応じて簡単に機材をトランスフォームさせることが出来るって凄く便利だと思いませんか?

ひとつの三脚に限られた構成ですといったい何本の三脚を用意しないといけないのか…とてもじゃないですが揃えられません。
その点、状況に応じて必要なものだけを素早く付け替えられるというのもアルカスイス互換というシステムで統一しているからこそなんです。

私は、三脚や雲台は主に最近日本でも銀一さんで取扱が開始されたReallyRightStuffというメーカーで構成していますが、その他のアルカスイス互換のクランプやプレート類を調達するにあたって、まずメインの目的を考え、次に他の目的に使う場合にはどのようなものが適しているか等を何パターンか想定した上で購入しています。
そうすることで撮影のバリエーションを増やしつつ携行する機材の量を最低限に絞る事が出来るからです。(実際にはそういうのが幾つも集まってかなり重くなってるんですけどね。)

それとパンニングクランプ(パノラマクランプ)などの回転系やバー(スライドレール)とかには滑らかな回転と荷重に負けない剛性が必要になってくるので、ReallyRightStuff等の絶対的な精度と強度があって信頼ある物をチョイスしています。
しかし、私も安価な物を散々試してみて分かったことも多いので、実験や今後のイメージ構築の為に敢えて安価な物を購入してみるのも良いかもしれませんね。
安物買いの銭失いという事も多々ありますが、その点は割り切ってですけどね!

それではまた。