まずはこの写真を見て頂きたい。

これを見た瞬間に答えが分かる人は、多分漁業関係者の方か、全国各地に獲物を探して夜な夜な車を走らせるフォトグラファーくらいだろうと思う。私も最初にこの写真を見た時は、「綺麗なパレードだな」と思ったくらいだから。今では有名になってきたとは言え、まだまだあまり知られていない、徳島県吉野川の河口で行われるシラスウナギ漁のご紹介をしたい。

 

1.時期とタイミング

例年12月から4月ころまで、特に1月と2月に多くの船が出るシラスウナギ漁も、毎日漁船が出ているわけではなく、潮汐の大きい「大潮」の日が選ばれる。また淡いランタンの光を使う漁法のために、月の光が大きいと漁獲高が少なくなるそうで、大潮の中でも満月ではなく「新月」の日が選ばれる。真っ暗な深夜、闇が深まるにつれて河口付近にポツポツと小さな光が増えていき、それが一気に広がっていくさまは、人間と自然の織りなす幻想的な光のパレードのようだ。

ではその「大潮」と「新月」の日をどこで調べればいいのかというと、下記サイトなどを参照されるといいと思う。なぜか「出産カレンダー」となっている。多分私の知らないどこかで、世界の秘密と月の潮汐が関係しているのだろうと思う。

https://oosio.info/oosio_calendar/

 

2.場所

四国内で行われているこの漁法は、いくつか撮影ポイントがあるが、やはり吉野川がアクセスや撮影の容易さからファーストチョイスになるだろう。撮影ポイントは吉野川にかかる大きな橋、「吉野川大橋」の南東側の歩道から海を向いた方向だ。


Googleの写真で見ると車専用の橋のように見えるのだが、人や自転車が歩いて渡るための道が作られていて、そこから撮影することになる。足場はしっかりしているが、大きな橋なのでトラックの振動などを受けやすいのだが、アングルや距離などを考えるとここからの撮影が楽だ。

 

3.カメラ設定

写真で見ると明るそうに見えるが、新月の深夜に撮影に行くので基本的に周囲は真っ暗な上に、ランタンの光は淡い。しかも川の上を動き回って漁をする船を撮影するので、シャッター速度は速い目を維持しなければならない。画角にもよるが、35mm以下の広角域ならばおよそ1/10以上を維持しよう。ISOは大体400-1600あたり。持っているレンズの明るさと相談しながらISOを決定していく。設定が終わったら後は漁船が出てくるのを待つだけだ。私が撮影に行った時は、干潮からしばらくしてポツポツと漁船が現れてくれた。

事前情報では漁にどれだけの船が出てくるのか全く分からず、たくさん出るかどうかは運次第ということだったので不安になるのだが、その日は徐々に船が増えてくれた。視界に淡い光がどんどんと増えていくのをリアルタイムで見るのは、やはり感動的だ。

 

4.とは言え、そんなに数が多くない場合も多い

友人たちのシラスウナギ漁の撮影話を聞くと、みんなある程度の漁船は捉えられるのだが、それこそ50艘が一斉に出てくるSF映画の宇宙艦隊出撃のようなシーンに出会えることはあまりない。となると、撮影的には工夫が必要になる。私が撮影に行ったときには、最大で20艘くらいの船が出てくれて、それを収めたのがこの記事の一枚目の写真なのだが、若干やはり寂しい。ということで、3枚の写真を多重露光で撮影したのが次の一枚だ。

運が良ければ、何も多重露光などしなくても一発でこれが撮れるのだが、私の時はそうではなかった。次は是非こういう光景を生でみたいものだ。

 

5.色々な撮り方ができそうでもある

上の方で「シャッター速度は1/10よりも速く」と書いたが、写真撮影の発想や表現は無限だ。一気にシャッターを遅くするとこんな画も撮ることができる。


一気にファインアート的な作品になった。勿論この撮り方はむしろ「定番」の側に属する画なので、これからここに行かれる方には色々な撮影方法にもトライしてほしい。今年はまだ3月28日の「大潮+新月」の日が残されている。2017年の漁期は4月15日までで、4月の新月には間に合わないので、3月が実質撮影のラストチャンスだ。梅や桜の合間の撮影予定に是非組み入れてみてほしい。