三月が終わろうとしている頃、知床国立公園内で昼寝をするキタキツネ。
厳しくて長い冬を越した冬毛から初冬の頃のふわふわさがなくなり、汚れてゴワゴワしているようにも見えます。
そんな冬毛に結晶の形のままふわっふわの名残雪が舞い落ちてきました。


野生動物を撮影しはじめたばかりの頃、動物を見つけるたびに望遠レンズを向けて闇雲にシャッターを切っていました。
長い望遠レンズを手にして画面いっぱいに動物が写っていて、ピントが合っているだけで「やったー」と大騒ぎしたことを覚えています。

しかし、しばらく時間を置いてからそんな写真を見直すと、どんな場面だったのか思い出すことができないことが少なくありませんでした。
時に、謎色なボケの中で季節すらわからないものもありました。

その反省は、動物がどんな風景の中にいたのかを想像できるような構図や仕上げにする僕の作風の端緒になりました。

僕が撮ったキタキツネの写真群を前に「キタキツネなんて北海道に行けばそこら中にいるぞ。珍しくもなんともない。」なんて言う人もいますが、経験上、そういう人に限ってかつての僕の失敗作品のようなものを撮っていたりするような気がします。


さて、このキツネ団子のように丸まっているキタキツネですが、ふわふわの名残雪の雰囲気をキタキツネのまわりに残してあげたかったので、背景が暗く見えるところを探しました。

今回は、常緑である松の木の葉々が背景をしっかりと暗くしてくれて、舞い落ちる雪がふわふわと見えます。
そして、この雪をより強調するためにボケの中に雪をとじこめたいので、絞りは開放で撮影することにしました。そして、浅くなった被写界深度の中に手前にあるキタキツネの左耳から奥のお尻までを慎重にいれてあげます。

雪がまぶしい冬の日中は、背面ディスプレーなんて使い物になりませんが、わが愛機であるSONYのミラーレスカメラに搭載されたEVFファインダー内に広がる像が非常に便利です・・・・・・そして、露出は上げすぎないようにしなければ。だって、この時期の雪面は、日中に溶けて夜間に凍るのをくりかえしているので、粗目になっています。
この粗目感が完全になくなってしまうと季節感がなくなってしまうので、露出を白飛びするギリギリ手前にして・・・パシャ!

Camera: SONY ILCE-7RM2
Lens: SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM | Contemporary
Focal Length: 600mm
Mode: Shutter Speed Value (シャッタースピード優先)
Shutter Speed: 1/500 sec
Aperture: f/6.3
ISO: 400