四季を通じて美しい、ということになっている京都なのだが、実際には京都の苦手としている季節があると個人的には思っている。
春だ。圧倒的な紅葉の秋、禅の精神が息づく雪の冬、祇園祭を始めとする各地の祭りが華やかな夏と比べると、実は春は意外と苦戦する。私もかれこれもう4年ほど京都の桜を撮っているのだが、「これだ!」という写真が撮れたことがない。まだ多分、一枚も表に「作品」として出せるものは撮れていないのではないかと思う。そんな状況の中で、今日は「ここならもしかしたら今年はいい写真が撮れるかもしれない!」という古都京都の桜の名所をご紹介したい。でも、清水寺はカットでいいですよね?

1) インクライン

京都市地下鉄の蹴上駅を降りて、地上に出て斜め後ろを見上げてほしい。桜の時期のど真ん中に訪れたなら、そこにはもう人だかりが出来ているはず。京都の東側の桜の名所といえば、南禅寺の区域、中でもこのインクラインだろう。かつてインクラインはここから琵琶湖疏水用の船を運搬していたのだが、現在では廃線となっている。代わりにここを有名にしているのは、その廃線沿いに作られた長い桜並木だ。廃線の情緒と合わせて、非常に人気がある。日曜の昼に行くと、たいていどこかのカップルが前撮り撮影をしていたりする。というわけで、オススメは早朝。6時台に入ることができれば、こんな誰もいないインクラインの桜を撮ることができる。

ここは実は切り取りが難しい。桜の枝ぶりにが意外と粗密があって、粗いところだと横の道路の車が見えたりする。望遠レンズの圧縮効果を使って、上手く周りの「余計な風景」をカットしつつ、幻想的な桜を撮影してほしい。上手く周りのフォトグラファーと交渉して、ここでポートレートなんてのも良いかもしれない。私は今年はここで桜吹雪を撮りたいなと思っているのだが、上手くいくのかどうか。

2) 平安神宮

清水寺はあまりにも有名なので今回はカットしたが、同じくらい有名な桜の名所である平安神宮の、夜の方の写真をちょっとご紹介しておきたい。神宮の西側から入場する「神苑」には、およそ300本のヤエベニシダレザクラが植えられているが、4月の上旬はこの桜の園が夜にも開放される。その姿が美しい。

昼も美しいが、やはりここは夜の美しさが格別だ。ただ、三脚は勿論使うことが出来ないので、上手く手すりを使うか、あるいは高感度の強いカメラで撮影に臨んでほしい。そして狙うはやはり無風の日のリフレクションだろう。

3) 平安神宮前

さて、上の一枚が撮れる頃は、平安神宮の周囲の桜も満開に近い。ならば是非、神宮を出て少し南に歩いて行ってほしい。場所としてはこのあたりの橋の上から見る桜が格別なのだ。

京都国立近大美術館の壁沿いの桜がライトアップで照らされている。そしてさらに趣を添えてくれるのは、この時期、夜間に屋形船が通っていくのだ。その光跡を桜と合わせて長秒露光で捉えることができる。その時かぎりの光の共演を是非カメラに収めてほしい。

4) 背割堤

さて、京都中心部から少し南に下ってみよう。八幡という場所がある。中心から外れているが、電車だと京都駅から約30分程。京阪の八幡市駅を降りて、木津川にかかる「御幸橋」を渡ってみよう。目の前にすぐに圧倒的な桜並木が見えてくるはず。それが有名な「背割堤」だ。こちらもお昼ごろには人で満員になるので、是非早朝を狙ってみてほしい。あるいは、私が去年試みたようにわざと天気の悪い日を狙って見るというのも手だ。私は結果惨敗だったが、もうちょっと空の様子がドラマティックだったら、このカーブのポイントで美しい桜風景が撮れるはず。今年は私はここでなんとかいい写真を収めたいと思っている。

5) 原谷苑

最後は、京都でも奥座敷にあたる北区のさらに北、金閣寺の裏手の山側に入ったところに「原谷苑」という小さな花の園がある。近年有名になりつつあるが、こちらは是非まず目で見てほしい。小さな園内に詰め込まれている圧倒的な花の数々に驚くはず。そしてその後おもむろにカメラを構えてしばし軽い絶望を味わってほしい。ここで「構図」を見つけた写真というのを、私の写真も含めてまだあまり見ていない気がする。圧倒的な桜やその他の花を前にして、どの場所を切り取ってもなんらかの「象徴画」の様に見えてしまう最高難易度の桜の園。構図が見つけられないのだ。是非今年、皆さんの中で日本を驚かすような一枚を撮ってくれる人が出てくれることを願っている。

 

というわけで、前回につづいて今回も桜のご紹介だった。次回も引き続き、桜の記事を書かせていただこうと思う。ぜひご参考頂ければと思う。