デジタルカメラの機能やフォトレタッチソフトなどで、「ヒストグラム」という機能のことを聞いたことがあるユーザーもいらっしゃるかもしれません。

ヒストグラムは使いこなせると非常に便利で、写真表現の工夫を行なう際にも有効に活用できる機能です。主に写真の「明るさ表現」のコントロールなどのシーンで便利に使えます

ただ、なんだか難しそうな名前から無意識に敬遠してしまっている、なんて方も中にはいらっしゃるかも?ですが、それはちょっともったいないことかもしれません。

この記事では写真におけるヒストグラムの意味と活用方法をご説明します。

ヒストグラムとは?

元々、ヒストグラムは統計的なグラフの一種で、Wikipediaによりますと

縦軸に度数、横軸に階級をとった統計グラフの一種で、データの分布状況を視覚的に認識するために主に統計学や数学、画像処理等で用いられる。

とされています。

データの解析を行なうときに、ある値がどれぐらいの割合存在するのか、棒グラフのような形で分かりやすく表現するグラフの一種ですね。

写真におけるヒストグラム

では写真におけるヒストグラムがどんな風に使われているかといいますと、写真では横軸方向に「明るさ」、縦軸方向にその明るさを持った画素(ドット、ピクセル)がどれぐらいの数、または割合存在しているのかをグラフにしたものです。

写真の中の明るさの分布度合いをグラフにしたもの、ぐらいのイメージでしょうか。

これだけでは分かりにくいと思いますので、実際の例をあげてみます。

こちらの写真のヒストグラムはこんな感じになります。


グラフの左側が画面の暗い部分の割合を反映していて、右側に行くほど画面の中の明るい部分の割合に対応するようになります。

この写真の場合には、背景にかなり黒っぽい部分が多いため、ヒストグラムの左側にグラフの山が一つ出来ていることが分かると思います。

ヒストグラムの形と写真写りの関係

一つの写真で「露出補正」を行なうようなイメージで明るさを調節して、写真の見た目とヒストグラムのグラフの形の関係をチェックしてみましょう。

標準の状態だとこんな感じです。

カメラが自動露出でこれぐらいの明るさが適当だろうと判断して撮影していますので、ヒストグラムの山の形が比較的真ん中付近にうまく分散しているようなイメージになります。

これを+2.5段ほど露出補正して明るい方向に振るとこうなります。

ヒストグラムの山が右側にググッと寄って、写真も随分と明るい、と言うよりも白っぽい雰囲気に変わったと思います。

逆に大きくマイナス補正するとこんな感じに。

今度は写真がかなり暗い雰囲気に変化して、ヒストグラムの山は大きく左側に寄ってしまっています。

このように、ヒストグラムのグラフの形から、ある程度写真の明るさの分布具合を予想することが出来ます

多くの場合、ヒストグラムの山の分布に偏りが少なく、暗いところから明るい部分まで広くグラフが広がっている方が画面の明るさのバランスは良くなることが多いです。

ヒストグラムの活用方法

前の章で説明したとおり、写真の明るさの雰囲気の大まかな部分をヒストグラムから予想することが出来ます。この機能をうまく使うことで適切な明るさのバランスを持った写真を仕上げやすくなります。

写真において避けた方が良い写りとしてよく言われるものに「白飛び」と「黒つぶれ」があります。

これは写真の中で表現できる明るさの上限を超えてしまって、本来の色などの情報が全て失われて真っ白になってしまった部分と、表現可能な暗さの下限を下回ってしまい、真っ黒になってしまった部分のことを指しています。

写真の中にきちんと写し込みたい部分が白飛びしたり黒つぶれしてしまったりするのは、失敗写真の原因の一つでもあります。

撮影時にヒストグラムをうまく使ってやることで、この失敗を避けることも出来るようになります。

画面の中に黒つぶれがある状態のヒストグラムがこちら。

グラフに左端の明るさゼロの部分がかなりの割合あることが分かると思います。

逆に白飛びがあるヒストグラムはこちら。

画面の右端、明るさMAXの部分がたくさん画面にあることが分かります。

一般的にはこのような明るさ分布にならないよう、カメラの設定を調節して写真の明るさをコントロールしてやることになります。

こちらはEOS 7D MarkIIの撮影時の情報表示画面ですが、

こうやって撮影時や撮影直後の画像確認でヒストグラムをチェックしておくことで、白飛び、黒つぶれのない(あるいは少ない)写真を撮影しやすくなります。

白飛び・黒つぶれは絶対悪じゃない?

画面内できちんと表現したい被写体が白飛び、黒つぶれしてしまうのは失敗写真の一因になってしまいます。その関係からか、白飛び・黒つぶれを極端に嫌うユーザーもいらっしゃるようです。

ですが、画面の構成要素の一つとしてうまく活用すれば、白飛びと黒つぶれは決して「絶対悪」という存在ではなくなります。

白飛びと黒つぶれを避けすぎた仕上がりにすると、逆に画面のメリハリが出にくい、眠たい雰囲気の写真になりやすくなります。

例えば、最初に例で使ったこちらの写真の場合、この部分の黒く沈んだ箇所があるおかげで、

直射日光の当たったレンゲツツジの花の部分の鮮やかさを引き立てることが出来ています。

また、こちらの写真では手前の雪の部分がほぼ白飛びしています。

ですが雪の晴れ間の写真と考えると画面のバランスは破綻しておらず、十分ありなトーンの再現になっていると思います。雪の白さを表すには、これぐらい思い切った表現も十分にあり得ると言うことですね。

単純に白飛び・黒つぶれを嫌がって避けるのではなく、使える場合にはどんどん写真の表現に利用してしまってかまいません。

作りたい写真の構成によって、白飛び・黒つぶれを避けた方が良い場合も有りますし、逆に積極的に利用した方が画面が締まる場合もあります。

こういった部分は固定観念にとらわれず、柔軟にチャレンジしてみると良いと思いますよ。

まとめ

ヒストグラム、という言葉だけを見て何だか面倒くさそう、と敬遠されてしまうユーザーもいるかもしれません。ですが実際には機能面、使い方面でもそれほど面倒なものではありません。

うまく使うことで、バランスの取れた写真の仕上がりを手にしやすくなるとても便利な機能です。ヒストグラムを使いこなせれば、表現の上でもっと「攻める」ことも可能になるでしょう。

ただ、この機能を利用しなくても今の高性能なデジタルカメラならば、ほとんどの場合、安定した無難な仕上がりの写真を手にすることが出来ます。

ヒストグラムは便利な機能ですが常に使う必要があるもの、という訳ではないということですね。

明暗の使い方でちょっと攻めた写真を撮ってみたいときには、ヒストグラムでチェックを入れながら写真を調整する、まずはそれぐらいから気楽に始めてみるのが良いと思います。