今年も夏が近づいてきて、また花火の季節がやってきます。素晴らしい花火の感動を記憶だけではなく、写真の記録としても残しておきたいものです。

ですが花火の写真を撮ってみたけれど、なんだか見たときのイメージと違う、そういう写りになるケースも多いと思います。

今のデジタルカメラであれば花火もそれなりにカメラが写してくれると思いますが、目で見た印象に近づけるにはちょっとしたコツがいります。それは花火が写真の被写体としてはちょっと特殊な特徴があるからです。

この記事ではそういった花火の特徴も踏まえ、目で見た印象に近づけるための花火の撮影方法をご紹介します。

実はちょっぴり難しい被写体の花火

最初に書きましたとおり花火というのはちょっと特殊な被写体で、写真としての完成度を高めるにはいくつかコツを抑えておく必要があります。

一度要領が分かってしまえば難しいことは全然ありませんが、そこに気づくまではちょっと苦戦する被写体かもしれません。

まず花火の写真の被写体としての特殊な部分をリストアップしてみます。

  • 被写体自らが光を出す
  • 背景との明暗差がとても大きい
  • 目で見るときには移動する軌跡込みで見ている被写体

概ねこの3つが上げられると思います。

これら3つに関して説明しつつ、それぞれの対処策をまとめていきます。

花火自体が光っている

通常のほとんどの被写体は、太陽や人工の照明の明かりを反射する形で目に見え、写真に写っています。このため明かりのない環境では写真に写りませんし、目にも見えません。

これに対して花火は自ら光を発する形の被写体です。撮影する際に写るのは花火の星が燃えた時に出す光ということになります。

背景との明暗差がとても大きい

前の節の内容とも絡みますが、花火は夜しっかり日が落ちてから上げられるケースがほとんどです。

このため基本的に花火の背景の夜空はほぼ真っ黒。それに対して花火自らが光を発していますから、背景と主となる被写体、花火そのものの明暗差が非常に大きくなります

まず一つ、この部分が写真の明るさのコントロールを難しくしています。

ほとんどのカメラの自動露出では、カメラは画面全体の明るさを判断して露出を決めます。画面全体が比較的平均した明るさの分布になっている場合には、カメラの出す明るさの設定が外すことはまずありません。

ですが、花火のように真っ暗な中にとても明るいものが一部分だけ出てくるような画面構成では、最新のカメラでも明るさ設定がどうしてもうまくいかないケースが多くなります。

花火自体が明るく写りすぎてしまって、花火の色が薄れてしまうケースが多くなると思います。

この写真は会場の雰囲気を出す、と言う点では大きく露出を外した写真ではないとも言えるのですが、花火自体に対しては露出オーバーで、色が失われて真っ白になってしまった部分が多くなっています。

こういった状況への対処策としては、「露出補正」で大きくマイナス補正を行なう、と言うのが一つ。

カメラのシーン認識モードに夜景モードや花火モードがもしあれば、これらを使う方法もあります。

また、どんな花火でも一つ一つの星が燃えたときの明るさにはあまり大きな差がありません。ですので「マニュアル露出」モードを使って、明るさ決め打ちの撮影を行なう方法もあります。

目で見るときには移動する軌跡込みで見ている被写体

もう一つ、花火の写真が目で見た印象に近づかない理由の一つとして、人間が肉眼で花火を見るときには、花火の光が流れていくその軌跡込みのイメージで花火というものを認識している、と言うことがあると思います。

明るさをピッタリ合わせる形で写真を撮っても、比較的速いシャッタースピードを使った場合には、火花がほとんど止まった形で写ってしまい、花火の「軌跡」部分が写真には写りません。

このため写真のイメージが目で見た花火のイメージに近づきにくくなっています。

目で見たイメージに近い花火写真を作るには

これをカバーするには、「シャッタースピードを遅くして」花火の軌跡も一緒に写し込んでしまう、と言うのが対処策になります。

大胆に大きく被写体ブレを使う、というようなイメージになるかもしれませんね。

方法としては、8秒~30秒といった長時間露出や、シャッターを押している間シャッターが開きっぱなしになる「Bulb」モードを使います

花火が打ち上げられて炸裂する直前あたりから、花火の光が全部消えてしまうまでシャッターを開きっぱなしにするイメージです。

花火の星が動いていなければこんな撮影方法を使うと完全に露出オーバーになってしまいますが、幸い花火の星は画面上で移動していってくれます。画面のある点に星が発する光が当たる時間は自動的に限られたものになってくれます。

ISO感度と絞りを適当な値にセットできさえすれば、露出オーバーを心配する必要はほぼなくなります

1発の花火だけを写し込む場合には、ISO100で絞りF8前後の設定でだいたいちょうどいい明るさに写るはずです。露出時間は15秒を目安に、花火の大きさに合わせて前後にずらします。

スターマインなど、たくさんの花火を重ねる場合には、もっと絞った方が良いでしょう。複数の花火を重ねて写し込むと、こんな風に花火に対して露出オーバー気味の写りになります。

この撮影方法では長時間露出を使いますので三脚が必須になります。

また、直接カメラのシャッターボタンを押すとブレの原因になりますので、リモートケーブルなど、カメラに直接触らなくてもシャッター操作ができるオプションがあると楽が出来ます。

レンズは打ち上げ会場近くでの撮影ならば標準レンズから広角レンズが適しています。会場から遠くからの撮影ならば望遠レンズも駆使しましょう。

ピントはオートフォーカスでも合わせられると思いますが、マニュアルフォーカスに切り替えて無限遠付近に「置きピン」するほうが楽です。

動画も活用してみよう

本当に目で見たイメージに近い映像を撮るならば、実はベストなのは動画で撮影することかもしれません。

実際に肉眼で見ている光景も動いている映像ですから、動画の方が実際の花火により近いイメージを残すことが出来ます。近くで花火を見るときには必須のものである「音」も一緒に記録することが出来ますし。

動画を撮る際にも重要なのは露出の設定です。

カメラ任せのオートだとどうしても見た目の印象には近づかないと思いますので、現地でテストをしつつ、「マニュアル露出モード」を使って適切な露出設定を見つけましょう。

打ち上がる花火の密度にもよりますが、写真で撮影するときよりも少し明るめの設定の方が花火の見栄えは良くなるはずです。

今のデジタルカメラには、一眼レフでもかなり高性能な動画撮影機能がついていますから、これを活用しない手はないと思いますよ。

まとめ

花火の軌跡込みで写し込む写真を作り上げる場合には、こんな設定を使うと概ね見栄えや明るさがイメージに近い仕上がりになります。

  • シャッタースピードは8~30秒ぐらい
  • ISO100で絞りはF8が基準
  • 三脚が必要
  • レンズは標準レンズから広角レンズが一般的。会場外からの撮影ならば望遠も

スターマインなどでたくさんの花火を重ねる場合には、もう少し絞りを絞った方が良いでしょう。シャッタースピードの調整も必要かもしれません。

デジタルカメラならば撮影直後に仕上がりを確認できる機能を活かして、現地で微調整を加えていきましょう。

長時間露出を使って花火を狙う場合には露出のブラケティング機能は役に立ちませんので、カメラによってはRAW記録モードを活用して、あとから写真の修正を出来る余地を大きく取っておくのも一つの手です。

この写真は、スターマインの例のところで使った露出オーバー気味の作例写真を、RAWデータから明るさの再調整を行なって作り直したものです。少し明るさが抑えられてスッキリしたイメージになっていることがおわかりいただけると思います。

花火の写真は基本を抑えてもある程度の試行錯誤は必要になる難しい被写体ですが、それだけにお気に入りの一枚をものに出来たときの満足感も大きいと思います。

この夏は是非一度、花火の写真にもチャレンジしてみてくださいね。