春先、木々や草の葉が芽吹き始めてから盛夏に向かって緑の色は日々変化していきます。特に春先の新緑の頃は、本当に一日一日、色が濃くなっていくところが目に見えて分かるぐらいです。

そんなキレイな緑は写真にとっても格好の被写体になってくれます。

今回はこれからますます色の深みを増してゆく緑をキレイに写す方法、写真を作る上でのいくつかの代表的な撮り方のパターンをご紹介していきます。

木々の緑と言っても色はさまざま

まず最初に一つ。

一言で木々の緑、と言っても色は樹木の種類ごと1つ1つ違う色がある、と言っていいほどにたくさんの緑色があります。

出来ればこれらたくさんの色のバリエーションをうまく表現しきりたいところですね。

写真に残す際に、今のデジタルカメラだと様々な方法で緑をより鮮やかに写し取るテクニックがあります。ですが、そういったところにこりすぎて、せっかくの色々な緑のバリエーションがなくなってしまっては元も子もありません。

撮影や後処理の際には、この部分は頭の片隅においておくと良いと思います。

撮影パターンの一例

緑を活かす撮影方法のパターンをいくつかご紹介します。

順光や斜光の条件で、ストレートに木々の葉の緑色を表現するのが一番一般的な撮影方法になると思います。この場合、木々に光の当たる向きによって緑の加減が微妙に変化します。

もちろん天気が晴れと曇りといった条件の違いでも色の出方が全く違ってきます。

どれが良いどれが悪いではなく、色々な条件での撮影、写りの違いを楽しむのが一番だと思います。

また、逆光気味の光を使って木々の葉が光を透かした状態で撮影するのも、とてもキレイな緑色を演出しやすい方法です。紅葉でも便利に使える撮り方ですので、撮影方法の基本パターンの一つとして覚えておくと何かと役に立ちます。

完全に緑そのものを撮る方法ではないかもしれませんが、木漏れ日を狙う撮影パターンもあります。

木の幹の部分は完全にシルエットに落ちるはずですし、葉の部分も透過光気味に輝く部分と、ほとんどトーンがなくなって真っ黒に写る部分も出てくるはずです。

この撮り方では、こういった明暗のコントラストを活かした仕上がりを目指しましょう。

レンズの絞りを大きく絞り込んだ状態で木漏れ日の光の加減をうまく調節してやると、回折現象による光の光芒を出すことも出来ます。

ゴーストが発生しやすい撮影方法ですが、ゴーストも逆に木漏れ日を演出するアイテムの一つ、と割り切ってしまうことも可能です。過剰にゴーストを避ける必要もないと思います。

また緑は雨の日でも美しい被写体に仕上がる、とてもうれしいオブジェクトでもあります。光線の加減次第で、しっとりしたいい雰囲気を向こうから自動的に演出してくれるような被写体です。

コントラストを少し高めにすると、葉に乗った水滴などの「シズル感」を引き立てやすくなります。逆にコントラストを抑えた仕上がりにすれば、よりしっとり落ち着いた画面イメージになりやすくなります。

緑を美しく出すために

写真を組み立てていく際に、緑の色の発色をより良くするための方法がいくつかあります。こちらもご紹介しておきましょう。

PLフィルターの活用

PLフィルターは物体からの反射光を軽減できるちょっと特殊なフィルターです。ですが、デジタルカメラ全盛の今だと、無色透明のプロテクトフィルターの次ぐらいに多用されるフィルターだと思います。

青空をより深い色にしたり、ガラスや水面の反射を押える目的で使われることが多いと思いますが、緑の色を引き立てるのにも利用できます。

木々の葉の表面でも太陽の光の反射は起きますから、反射込みで撮影した場合、葉の緑は薄めの写りをするようになります。PLフィルターを使うことで葉の表面の反射を抑え、緑の色もより深い色で写し取ることが出来るようになります。

ホワイトバランス調整

多くの場合、写真に撮ってみると、記憶に残る印象よりも葉っぱの緑色は黄色っぽく写るケースが多くなると思います。

実際の色がどうだったかということならば、どちらかと言えばカメラが再現する色が本物の色に近いことが多いと思うのですが、人間の記憶している色合いは現実よりも鮮やかな傾向で覚えていることが多いのです(記憶色)。

こういった記憶色のより鮮やかな緑を再現するために、少しカメラのホワイトバランス設定を操作する方法もあります。

一般的にはわずかに青みを強調する方向で色設定を変更すると、緑の鮮やかさが出やすくなります。

後処理での色調整

同様にRAWデータからの現像処理や、フォトレタッチソフトによる調整でも色の変更が簡単に出来ます。こういった部分がデジタル写真の最も大きな強みかもしれません。

こちらもカメラのホワイトバランス設定とほぼ同じ考え方で「色温度」設定を変更することで色の傾向を変化させたり、色味の調整機能を使って直接緑の色をより鮮やかに見せることも可能になります。

効果のかけ方は控えめに。が基本

PLフィルターによる補正でも、ホワイトバランス設定の変更や後処理での色の調整でも、使い方の基本は「控えめに」になります。

空を写す際にPLフィルターを効かせすぎて「日本の空ではなくなった」、鮮烈な色合いの空に仕上がるケースがあると思います。

もちろん表現の一つとしてこういったある意味ドラマチックな表現の写真もアリですが、通常の写真ならばフィルター効果の効かせすぎはマイナスに働くことがあります。

ですのでPLフィルターでもデジタルな方法による色調節でも、通常はやり過ぎないことが一つのポイントになるでしょう。

次の写真の緑はすごく鮮やかに写っていると思いますが、この緑の様子を見てどう感じるかが一つの判断や写真の好みの基準になるかもしれません。

コンパクトデジカメらしいパリッとした仕上がりの色合いではありますが、著者はこの写真の緑の演出はやり過ぎ、鮮やかすぎと感じます。色の濃淡こそありますが、全部の種類の葉の緑が同じような色合いに丸められてしまっているからです。

やはり表現の一つのパターンとしてありかもしれませんが、もう少し鮮やかさを抑え、きちんと葉の色の違いを出す方がより自然な色表現になります。

こういった部分は撮影を行なう人、写真を鑑賞する人それぞれの感性に委ねられるところですので、それぞれの方がご自分の好みに合った色作りをされると良いと思います。

今のデジタルカメラとそれを取り巻く環境ならば、どなたでも取り組める写真の作り方の一つですので。

まとめ

春先の木々が芽吹きだした頃の淡い緑から盛夏の色がすごく深まった緑まで、季節の変化に伴って色々な色彩などが楽しめる被写体が緑です。

秋に色づく紅葉まで含め、撮影を楽しみたい被写体の一つですね。

どの被写体でもそうですが、緑も撮る人それぞれのアプローチによってまったく異なる写真作りが可能な被写体です。

PLフィルターやホワイトバランス調整などをフル活用して鮮やかさを出すのもよし。少し抑えて緑本来の色の違いを楽しむ写真もまたよし、です。

葉の光の反射を抑えずにコントラストを高めた写真に仕上げて夏の日差しの強さを演出する写真も可能ですし、あえて雨の日に撮影することでコントラストを抑えたしっとりとした仕上がりでも絵になる被写体です。

ぜひ色々なシチュエーションで色々なパターンの緑の写真を楽しんでください。