だんだんと気温も上がり水が恋しい季節になってきました。

水場で遊ぶ子どもさんなど、いかにも写真的にもうれしい状況が生まれる季節です。

この「水」それ自体も写真の被写体としてとても面白い存在になり得ます。また、水面での反射その他の特徴を利用すると、他の被写体を引き立ててくれるいい演出役にもなってくれます。

今回は、「水」を使った写真撮影のアイディア、撮影の際のセオリーをいくつかピックアップしてご紹介します。

水そのものの造形の楽しさを探る

水は透明の液体です。角度によっては光をそのまま通し、別の角度では光を反射します。どんどん形を変えて流れます。

言うまでもなくどれも当たり前のことではありますが、こういった水の特性が水の写真を面白くしてくれ、また逆に難しくするケースもたくさんあります。

水を活かす写真を作るには、こういった水の特徴を上手く使うのが近道だと思います。

まずは水そのものの美しさを撮影するアイディアをいくつか取り上げてみましょう。

流れる水

まず一つ目は、流れる水の造形自体を楽しむ撮影です。

例えば噴水から噴き出す水です。肉眼で見える範囲ではただ水が弧を描いて飛んでいくだけですが、高速シャッターで一瞬を切り取ると、水の表情として全く違った姿が見えてきます

すごく複雑に、どこか有機的にうごめく形が撮れるでしょう。恐らく、水道の蛇口から出る水の一瞬を切り取るだけでも、面白い造形が見えてくるはずです。

川の水面でも、瀬の部分を望遠レンズで拡大して一瞬を切り取ると、とても面白い形が見えると思います。

水しぶき

滝や噴水の水しぶきも、それ自体も面白い被写体になります。海で高い波が立っているときの、波の先端からちぎれ飛ぶ飛沫なども毎回二度と再現されない一瞬がたくさん詰まっているはずです。

滝や渓谷などはスローシャッターを使って流れや飛沫の動きを流しきってしまい、雲のような表現にすることが撮影テクニックの一つで、そちらの方向を活用することも多いと思いますが、逆に高速シャッターで飛沫の1粒1粒までピタッと止めた写真にも面白みがあります。

大きな滝などでアップ気味にこういったタイプの写真を撮ると、滝を流れ落ちる水の躍動感を出しやすくなります。

漣に反射する光

一般的には池や湖を入れた写真を撮る場合には水面が静かに凪いだ状態で、水鏡的な表現を狙いたくなると思います。このため微風があったりして漣が立つとなんだか残念、と思ってしまうケースが多いかもしれません。

天気が良く直射日光がある場所であれば漣に反射する光を上手く使うと、それ自体も面白い被写体になります。

水面のキラキラした状態を簡単に写真で再現できます。

また、大きく絞り込んでこの状態の水面を撮影すると、一つ一つのきらめきから光芒を出すことも狙えます。

こちらはやり過ぎるとちょっと演出過剰なイメージになりますので、上手く加減することは必要になると思います。

水を使って他の被写体を演出する

水そのものを狙う写真も面白いですが、脇役に徹しさせて他の被写体を引き立てる役割を担わせるのにも便利に使えるのが水です。

水面の反射を使う

まずは王道的なものが水面の反射を使う方法でしょう。

池や湖、水たまりに映り込む風景を画面構成の要素として使います。

水鏡状態を狙うなら無風状態が必須になりますが、わずかに風があってゆったりとした波があるときにも、映り込みがデフォルメされた面白い造形になります。

また、朝日や夕日などが海面に映る光の道も、水面の反射の活用例の一つです。

水滴

雨上がりの晴れ間などには、草の葉や花びらの上に載った水滴がいいアクセサリになってくれます。

また、マクロレンズで水滴にググッ寄ると、水滴の向こう側の景色が水滴の中に写り込むのが見えるはずです。「宙玉」写真などと最近呼ばれることが多くなった撮影方法ですが、これをつかえば水滴自体を主役にすることも出来ます。

水面のきらめきを玉ぼけで使う

メインとなる被写体の後ろに波立つ水面やせせらぎの流れを入れ上手く光を反射させると、ランダムに水面の反射由来の玉ぼけを作ることが出来ます。

とてもお手軽に画面をファンタジックな雰囲気に演出することが出来ます。

絞り具合と背景との距離の調節で玉ぼけのサイズを変化させられますが、こちらもやり過ぎると主被写体がなんだった分からない写真になってしまいます。

また、使うレンズは円形絞り採用のレンズで、その効果がある範囲で絞る必要があります。

しっとり落ち着いた雰囲気の演出に

雨で濡れた緑は、晴れの日とは全く雰囲気が変わります。すごくしっとりとした柔らかい雰囲気の写真に仕上がりやすくなります。

梅雨の時期はどうしても写真を撮りに出かけるのがおっくうになりがちですが、雨の雰囲気を活かした風情のある写真を狙うには最適の時期でもあります。

雲が厚くてコントラストが足りない、というケースでは、ストロボを補助光にして少しコントラストを補ってやる手もあります。

「水」撮影のセオリー

水を撮影する場合にもいくつか基本的なセオリー的なものは存在します。他の被写体とも共通する撮影の基本テクニックですが、水の撮影に当てはめる形でこれらをまとめてみます。

高速シャッターで止める

噴水の水の流れを止めたり、滝の飛沫をビシッと止めて撮影するには、動きモノ撮影と同様に高速シャッターを使うことになります。

滝や波の飛沫を止めきるには、それなりのシャッタースピードが必要になります。

晴れの天気で条件が良ければ、数千分の1秒など、思い切ってシャッタースピードを速めてしまってOKです。天気が悪く十分な明るさがない場合には、ISO感度をある程度上げる方が結果は良くなると思います。

今の1型以上のイメージセンサーを持つカメラならばISO1600程度は普通に使える画質がありますので、思い切って感度を上げるのが色々なシーンでの写真の成功率を上げるカギの一つです。

低速シャッターで動きを流しきる

こちらは水の動きを流しきってしまって、水面を雲のような表現にするやり方です。

数秒以上の低速シャッターを使いますので三脚が必須になります。

また日中であればレンズの絞りを一番絞り込んだとしても、まだシャッタースピードを落としきれないはずですので、明るさを落とすための「NDフィルター」がほぼ必須になります。

昼間使うのであれば、レンズを通過する光を1/8に落とす「ND8」のフィルターがあると良いでしょう。

三脚にカメラを据えた上でも無用なブレを防止するため、カメラのリモコンやセルフタイマーを活用した撮影を行ないます。

中間速シャッターで動感を出す

こちらはあえて水を少し被写体ブレさせて撮影するイメージです。水の動感を出しやすくなります。

滝や渓谷の水の動きを表現したいときには、こちらの方法も使えます。

適当なシャッタースピードは流れる水のスピード次第で変わってきますので、現地でシャッタースピードを変えながら何枚も撮影するのが良いでしょう。

こういうところはデジタルカメラの何枚撮ってもコストがほとんどかからないメリットを最大限活かしましょう。

反射はPLフィルターでコントロール

水面の反射を写真の構成に活用する場合には、画面の構成によって水面の反射の程度をコントロールする必要があるケースも出てきます。

水鏡を狙うのであれば最も反射が強い状態で撮影すればOKですが、あくまでも水面の反射は脇役に留めたい場合には、PLフィルターを使って反射の程度を調節しましょう。

逆に反射を抑えて水の透明感を出したいときには、PLフィルターの効果をMAXで活用すると、反射を抑えた写りを作れます。

まとめ

一通り著者が思いつく範囲で水を写真に使う方法をまとめてみました。

もちろんこれが全てではなく、水を写真に活かす方法にはもっとたくさんのバリエーションがあるはずです。

実際に撮影してみると分かると思いますが、水自体の表情にもすごく豊かなものがあります。写真の主役としても脇役としても、とても魅力的な被写体です。

色々なシーンで水を上手く使った写真のバリエーションを楽しんでみてください。