写真のネタを探すにも地元ではなかなか…。といった方が多いかもしれません。

同じ土地に長く住んでらっしゃる方ほど、そういった感覚を持つケースが増えていくと思います。

著者は元々道民ですが、進学で実家のある町を離れ就職先も関東を選択しました。

その後色々あって実家の町に戻ってくることになったのですが、帰ってきてみると田舎町の役場も観光協会といった団体もみんながみんな、「観光のネタがない」といって頭を抱えている様子。

ですが久々に田舎町に戻ってきた人間からすると、その悩みはなんだか不思議なことに思えました。

しばらくぶりに田舎に帰った著者からすると、うちの町の風景は素晴らしいところだらけだったからです。(病気をしたりして世界を見る目自体が変わっていたのもありますが)

しばらく関東に住んでいて向こうの空の色になれていましたから、まずは青空の美しさに感動に近い感覚を覚えました。

空の青の色の抜群のヌケの良さ。地平線間際まで色に濁りがなく恐ろしく透明感あふれるスカイブルー、そこから天頂の深い青に向かって続く見事なグラデーションなどなど、見るもの全てが美しく思えました。


そんな素晴らしいものだらけの場所で観光資源がない、ってどういうことだろう?正直そんな風に思ったのでした。

ネックは「慣れ」

ですが以前この町に住んでいた頃、著者自身がそういう感覚を持てていたかというと、全くそんなことはなかったのもまた事実だったりはします。

空自体や周囲の景色は、むしろ以前この町に住んでいた頃の方がもっとキレイだったはずです。ですが当時はそういった貴重な素晴らしい景色のかなかで日々過ごしていることに、まるで気づきませんでした。

それは、そういった周囲の環境がごく当たり前の日常で、当時の著者にとってはものすごく普通のものだったからだと思います。「慣れ」きってしまっていてそういった美しい景色もごく当たり前、「普通」の日常に埋もれてしまっていたからでしょう。

人間は一度慣れてしまうと、本来はどんなに素晴らしいものだとしても、普段、普通に接するものに対する感慨のような感覚を取り戻すのは多分すごく大変なことなのだと思います。

地元民の普通は他の地方の人たちの「非日常」

次の写真を見て、写真からどんな雰囲気を感じられるでしょう?


この写真を見て直感的にものすごく寒そう、と感じられた方は、北海道などの冬にはとても寒くなる地域の出身の方なのではないかと思います。

上の写真のシチュエーションは、朝、-20度以下まで冷え込んだ(しばれた)時の天塩川の様子です。水温が0度に迫るような川面から霧がもうもうと立ち上っている様を撮影しました。

0度近いものすごく冷たい水でも-20度以下の空気から比べればずっと温度が高いため、かなり濃密な川霧が発生します。

そしてその川霧は川岸の木の枝であっという間に凍り付き、見事な樹氷に成長します。川岸の氷の上には「フロストフラワー」も咲きます。

著者の住む町では、冬には1シーズンの間に最低でも十回以上は朝方-20度以下まで気温が下がりますので、このように川霧が発生して川面を「蓮の葉氷」が流れていくシーンがごくごく普通に発生します。

ですのでこういったシーンも地元民にとっては、「冬の日常の1シーン」に過ぎません

ですが暖かい地方の人にとっては、割と衝撃的な「イベント」かもしれないですよね、コレ。そもそも逆に川に温泉のお湯でも流れ込んでるの?と思われるかも。

ちょっとこの例は極端かもしれませんが、「地元で撮影のネタが見つからない」、はこういった感覚がベースにあるのだと思います。

地元民にとっては慣れきってしまって普通の日常の一部となってしまっているものの中に、きっと他の地域の人たちにとっては驚きの「非日常」が埋もれている、そう思います。

一度、地元を離れると分かるいろいろ

そういった日常生活に埋もれてしまったモノを再発見するのに一番いい方法は、一度地元を離れて生活してみることであったりします。

引っ越した先でも色々な発見が間違いなくありますし、戻ってきたときにはまた田舎の良さ、場合によっては「特異さ」に気がつけると思います。

ただ、引っ越しなどをする機会なんて言うのは普通はあまりないでしょう。

ですので、通常はSNSなどで離れた地域の人たちと繋がってみる、というのが自分の町の日常を別の角度から見直せるきっかけになると思います。

自分では当たり前と感じる風景などでも写真にしてよその地域の方々に見てもらうと、意外なところで驚きの感想をもらえることがあります。

実際の所、著者は一度関東に出るまではダイヤモンドダストをキレイだとは思ったことがなかったかもしれません。


高校時代は-30度まで下がった朝でも40分かけて歩いて学校に通っていたりしましたから、ダイヤモンドダストなんかはイヤな冬の寒さの象徴でもありましたし。

それを撮影するのもキレイに見られるのも実は結構難しい現象だ、というのに気づいたのは、恥ずかしながらごく最近のことだったりします。

自分たちの「普通」を見直してみよう

どの場所でもその土地ならではのいいところが必ずあると思います。

地元の人たちがそれに普段気づかないのは、多分間違いなく、それに馴染みすぎて日常の中の「普通」に埋没してしまっているから。

今日は空がキレイだったから、雨模様で何か風景がしっとり美しく見えたから、きっかけは何でもいいと思います。「普通」の景色でも写真にしてみましょう

それを他の人たちの目を通して感想をもらったりすることで、もしかしたら日常に埋没していた地元の素敵なものの再発見が出来るかもしれません。