山を絡めた写真はどのような撮り方をしても非常に絵になりやすいモチーフの一つです。

富士山のような美しい山を、山を主役に据えた写真として仕上げるも良し。山の姿を「借景」する形で、手前の風景の演出役になってもらうも良し。

撮影するロケーションとしても、麓から山体全体の姿を狙う、山の上から近づいて狙う、遠くからシルエットで、等々、色々な撮影のパターンが考えられます。

今回は山を絡めた写真を狙う際の基本的な撮影パターンや注意した方が良い点を、思いつく範囲でピックアップしてみます。

山は横長の被写体である

まず最初に、もしかしたら一番大事かもしれない注意点を。

山をイメージするときには多くの人が「高さ」を頭に浮かべるのではないかと思います。

ですが、写真を撮影するときの被写体としての山は、どんなに急峻な峰を持つ山であっても、基本「横長」の被写体になります。

縦方向のイメージだけを頭に置いてフレーミングを考えると、どうしてもバランスの整った画面構成を取りにくくなってしまいます。

一般的な画面のアスペクト比3:2の横アングルでも、多くの場合に上下方向に「空き」が出来やすい被写体であることを意識しておくと良いでしょう。

むしろ多くの山はパノラマ的なアスペクト比である16:9の画面構成の方が、画面の安定感、しっくりハマる感覚を得られやすい被写体と言えるかもしれません。

スマートフォンのカメラの初期設定での撮影がなんだかしっくりくる、そういうケースが多くなるのではないかと思います。

いずれにせよ多くの撮影シーンで山だけではなく、手前に置く景色やオブジェクト、または空の青さや美しい雲など、山を演出するための何かを画面の中に一緒に置かないとうまくフレーミングが決まらない被写体だと思います。

撮影の際にはこの部分を頭の隅に置いておくと、ちょっと構図の取り方が楽になるかもしれません。

光線の条件

当然のことではありますが、山の撮影でも光線の条件が写り具合に大きく影響してきます。

少し距離のある条件では、山の色が出やすいのは正面から光の当たる順光の状態での撮影です。その代わり順光では沢や谷などの凹凸の影がでにくく、山体の立体感が出ません

山自体の立体感を活かす撮影を行ないたい場合には、やはり一般の被写体同様、斜光の条件を利用すると良いです。

撮影したい山の向いている方角をチェックしておき、どの時間帯にどういう具合に太陽光が当たる条件になるのか、ということは事前にチェックしておきたいポイントですね。

逆光の条件は山の撮影でもなかなか難しい条件になりがちです。

山がシルエットになって色や立体感が出にくかったり、背景とのコントラストが落ちてそもそも山の稜線がくっきりと浮かび上がらなくなったりします。

ただ、比較的近距離からの撮影などでは、逆光ならではのユニークな撮影が出来る可能性もありますから、条件次第ではチャレンジしてみたい光線状態でもあります。

山の上から

最も大迫力の山の写真が狙えるのはこの撮影方法でしょう。

山頂まで登頂するところまでいかなくても、山自体を至近からアップで撮影できる方法です。

この写真は北海道の最高峰である旭岳をロープウェイ終点周辺から撮影したものですが、山頂のアップを無理なくクリアな画質で狙うことが可能です。

ある程度の高度まで上がれば地表付近とは気象条件なども異なりますから、高山植物や高度の低い場所より数段早い紅葉など、他では得られない光景の撮影も出来るはずです。

ちなみに、上記の写真の撮影日は10月3日。「日本で一番早い紅葉」とも表現されるものですね。

山頂からの景色を狙う場合にはご存じのこととは思いますが、撮影以前に「登山」であることはご注意くださいね。

上の写真を撮った旭岳ロープウェイの終点、姿見の池は標高1600m程度にありますが、気象条件によっては真夏でも普通に気温が10度を切ることがあるはずです。

山麓駅まで普通に車でアクセスできて、そこからロープウェイに乗れば15分ほどで行ける場所ですが、どんなにアクセスが楽な場所でも、山はやはり山です。

山麓から

山を山麓など下界から撮影する場合には、山までの距離に応じて間にある「空気」が一緒に写り込みます

このためその時々の空気の状態と空気の「厚さ」が写りにかなり大きく影響を及ぼします。

秋の空気のように澄んで湿度も低い状態であれば、山はスッキリと高コントラストで写りやすくなり、夏などの湿度の高い空気の中では遠くの山はかすんでディテイルが見にくい状態の写りに仕上がりやすくなります。

こういった山のかすみ具合を邪魔なものと考えるか作画に敢えて活かすか、撮影する人のセンスが活かせる部分かもしれませんね。

山そのものをはっきりと狙いたい場合にはかすみ具合は邪魔者となるケースが多いと思いますが、山を背景として主被写体の引き立て役で使う場合には、少しかすんで存在感が薄れてくれたほうが助かるケースもあるでしょう。

ただ、あまりに空気の透明度が悪い場合には、日中は距離のある山を写すことはほぼ無理になります。

そんな状況でも、夕焼けや朝焼けのシルエットの中ならば山を浮かび上がらせることが出来る場合もあります。

富士山など山の形自体が良く知れ渡ったアイコンになっている場合には、シルエットだけでも十分に絵になってくれます。

連峰系にはパノラマ合成という手も

複数の山が連峰として連なる場合、複数枚の写真を撮ってあとからパノラマ合成で1枚の写真に仕上げる方法もあります。

こちらは旭川空港の近くから大雪山連峰を撮影したものですが、35mmフルサイズ換算88mmのレンズで5枚をパノラマ合成しています。

ただ、実はこの写真は失敗例です。

空の色合い・濃さがうまく繋がっていない部分があることが分かると思います。

これは自動露出のままで撮影してしまったため、カメラの向きを変えた際に光線状態も変化、その影響を受けてカメラの露出設定が変わってしまったためです。

パノラマ合成を行なう場合には、マニュアル露出モードに切り替えて露出を固定すると空のトーンがうまく繋がりやすくなります

人間の視覚の特性は、グラデーションのトーンのつながりに恐ろしく敏感に出来ていますので、わずかでもトーンのつながりにギャップがあると、見た目上その部分だけ強調されて見えてしまう形になるのです。

まとめ

山は写真の被写体としてもとても魅力的なものです。

それそのものを狙う写真でも、背景になってもらったりする場合でも安定感の高い構図を作りやすい、作画にはとてもありがたい存在です。

山に登って上からの写真を狙えば下界とは全く別の風景も見せてくれます。訪れることで澄んだ空気や自然に触れられて生活のリフレッシュにもなりますね。

写真でもそれ以外の面でも楽しみたい存在の一つです。