高い山、北の方面からはいよいよ紅葉のニュースが伝わり始めました。北海道の標高の高い峠では雪のニュースも出始め、季節の歩みが聞こえてきています。

北海道では平地でもエゾヤマザクラなど色づきの早い木々は既に赤に変わっていたり、木の葉を散らし始めたりしています。

写真の題材としても紅葉がピッタリくる季節がもうそろそろですね。

今回は、紅葉を撮影する際のヒントや工夫をまとめてみます。

色は日々変わってゆく

紅葉はソメイヨシノの花の撮影などに比べると撮影期間の余裕は大きめです。色が最も鮮やかになった時でも1週間以上は撮影に適した期間があると思います。

1本の木の中でも枝の先と根元側とで色の染まるタイミングに若干のズレがありますので、それもあってさらに撮影に適した時間が長くなります。

ただそんな紅葉でも色は日々変わっていきます。

加えて、どの色合いが好きか、どの色が作品作りに適した色合いか、そのあたりは撮影をする人それぞれ。そういう意味では、撮影する人それぞれのイメージ通りの紅葉の色をものにするには、タイミングは意外と限られるものになる場合もあります。

撮影のタイミングという観点では、紅葉の名所に出かけて一発勝負をかけるよりも、身近なところで毎日のように色合いを確認できる場所を探すほうがより良いタイミングをものに出来る可能性が高いですね。

山では紅葉は標高の高いところから麓に向かって下りてきます。

このため遠征で紅葉の撮影を行なう場合には、「高度差」を使えるロケーションではいずれかの高度の地点でお気に入りの色合いに出会える可能性が高くなります。

紅葉の撮影に出かける際には、そのような地点を選ぶのも一つの手です。

前後の気候で紅葉の色づきのタイミングもある程度前後しますので、撮影旅行に出かける際には行き先の色づき具合はしっかりとチェックしておきましょう。

樹上だけでなく落ち葉もいい被写体に

紅葉を撮影する場合、基本となる被写体はやはり色づいた葉を持つ木々自体になるでしょう。樹木の種類にもよりますが、枝の根元と先とで色合いの変化を楽しむことが出来るケースが多くなります。

もじみでは種類によって順光で表側から見たときにちょうど良い被写体となる色を持つ木と、表側から見ると色合いがキツイぐらいに濃い種類があります。

表から見て色合いが濃すぎるように感じる葉は、透過光で太陽の光に透かした形で被写体にすると、ちょうど良い色合いになるケースが多くなります。

色合いが薄めの葉でも透過光で見た場合には、表情が一変して輝くようなトーンが出るケースもあります。

また、紅葉は木についている葉だけではなく、散った葉もとても良い被写体になってくれます。緑の苔の上に1枚落ちた真っ赤なもみじの葉などは、色のコントラストも素晴らしい被写体です。

色合いなどの状態の良い葉を集めてきて、コラージュ的にまとめてみるのも面白いかもしれません。

光線状態、天気には寛容な被写体

紅葉はさまざまな光線状態や天気の元で絵になってくれる、光線条件にはとても寛容度の高い被写体と言えると思います。

晴れた日にはパリッとしたキレイな色のコントラストを見せてくれますし、曇りの日にはしっとり落ち着いた色合いの写真が仕上がりやすくなります。

また、雨の日はまた別の風情ある雰囲気を出してくれます。

桜の花などピンク系の色合いの被写体はピンク系の色の冴えを出そうと思うと、一般には光源の光の色温度にはかなりシビアな撮影になります。

ですがこれに対し黄色や赤系の紅葉ならば、光の色温度はどんなところでもそれぞれ面白い表情を見せてくれることが多く、光の色温度にもとても寛容な被写体と言えると思います。

昼の色温度の高い光の中で本来の色の鮮やかさを見せることも出来ますし、色温度が低めになった時間帯ならば、黄色や赤の色合いを強調することも出来ます。

一つのパターンに捕らわれず、色々な条件下での撮影にトライしてみましょう。

色、明暗のコントラストの活用を

紅葉に限らず写真に締まりをもたらす撮影時の工夫の一つは、色と光の明暗のコントラストを画面の中に作り込むことです。

秋晴れの日ならば、簡単に背景の青空との色のコントラストが使えますね。

また、「こうよう」という言葉に「紅葉」と「黄葉」があるように、色々な染まり具合、色合いの葉を重ねることで簡単に色のコントラストも出すことができます。

そういう面でも画面の構成は比較的楽な被写体と言えるかもしれません。

表現の追い込みは露出がカギ

紅葉の写真では作品の仕上がりのカギの一つは写真に写り込む色合いです。

色の「コク」などと表現される色の濃さ・薄さ、深さといったイメージは、露出の程度で大きく変化してきます。露出補正で1/3段調整するだけで色の深みガラッと変化します。

順光、斜光での撮影の場合には、今のデジタルカメラならばカメラの自動露出が出す露出からの微調整でだいたいことは足りるはずですが、逆光や透過光を活用する場合にはカメラの出目から大胆に露出を変えた方が面白い表現を出せることもあります。

AEブラケティングを活用して色々な露出のバリエーションにトライしてみる価値もあるでしょう。

実際の撮影の際には1/3段の露出調整をブラケティングで行なうのはあまり得策ではないと思います。ブラケティングでの露出ずらしの段数は少し大きめとして、最終的な微妙な色合いや明るさの追い込みは後処理に任せる方が撮影の効率は良くなります。

このためには、撮影時はRAW形式での写真の保存を選ぶ方が後処理の自由度が大幅に高まります。

今のデジタルカメラのRAW形式データは、輝度に関しては14bit分のダイナミックレンジがある機種が増えました。このためJPEG形式のデータよりも後処理での調整の余裕がずっと大きくなっています。

RAW形式は1枚のデータ量が大きくなってストレージのメモリカードの容量を圧迫しがちですが、その分以上の活用の価値があります。

PLフィルターで反射を押えて本来の色合いを

紅葉の色合いをしっかり出す場合にも、葉の表面の反射を押えることが有効な手段になります。

加えて晴れた日に背景の青空との色のコントラストを高めるという目的でも、PLフィルターの活用が効果的です。

風景撮影の非常に多くのシーンで活用できるPLフィルター、紅葉でもうまく使いこなしたいところですね。

ちなみに紅葉は秋の写真ですから、葉の反射に関しては抑えきってしまっても季節の雰囲気を損なうことはありません。ただ、葉などが平面的に見えやすくなる可能性はあります。

まとめ

紅葉は多くの花よりも見頃の期間が長くその間の色の変化も楽しめる、ある意味お得な被写体です。

天気や光の具合に関しても、色々なシチュエーションで変化するさまざまな表情を見せてくれる、写真撮影にもとてもうれしい被写体の一つですね。

色合いなどは写真のフィニッシュの一工夫でガラッと雰囲気が変わることもあり、その意味では仕上げの難しい被写体でもあるのですが、その分、手の入れ甲斐のある被写体と言うことも出来ます。

四季のはっきりとした日本らしい景色の一つでもありますから、被写体としても有効活用、プラス、目でもしっかりと紅葉を楽しみたいですね。