タムロンに勤める友人達が私達に、最新のプロレベルF値固定の携帯用レンズ、タムロンSP 24-70mm F/2.8 Di VC USDをくれた。このレンズは多くの称賛を受けており、私は、このレンズの初代モデルが自分の持った初めてのレンズであったこともありとても愛着を持っている。初代モデルと比較すると、レンズ素子が増え、「VC」で知られる手ブレ補正機構も加わったことから、多少重量が増した。手ブレ補正機構を特徴とするのはこのクラスのレンズで初めてのことである。このクラスのレンズに共通する防水技術も特徴としている。販売価格1,299米ドル~ということで、キャノンやニコンなどの対抗モデルと比較すると大幅な割引価格であると言えよう。

私の保有するニコンD800ボディに当レンズのニコン用を装着して、最善の結果を出すためにレンズにフィルターは使わずに、画質をテストしようと思う。全てのイメージはRAWデータで撮影し、ニコンViewNX2で加工をおこなった。このレンズは、人気レンズであるニコンAF-S 24-70mm F/2.8G EDの安めな代用品になり得るかどうか。

デザインと品質

タムロンのレンズは最近の多くのレンズと同様に、ほとんど全てがプラスチックでできている。仕上げはニコンのものとよく似た小さな文様がある。825gとニコンの24-70mmよりも軽いが、それでも重量感がある。ニコンのものはレンズ構成も少なく手ぶれ補正機構もないにも関わらず900g以上あるのは驚きである。昔世代のタムロンの極めて重要なマーケティングポイントの一つが、「XR(高屈折率)」レンズの技術を採用することにより対抗相手よりも軽量且つコンパクトなものであることであったのを思い出す。この技術が当レンズにも使用されているようである。

このレンズは恐らく手ブレ補正機構が加わったためであろうが少し幅が大きく、あまり一般的ではないサイズ82mmのフィルターを必要とする。狂信的「日本製品」ファンの人々が知りたいことであるだろうが、このレンズは日本製である。このレンズは浅いレンズフードが付属されており、鏡筒にしっかりと取り付けられていた古いモデルを思い起こさせる。レンズフードは不要な時にはレンズに反対向きに装着することも可能であるが、そうすることでズームリングが使いにくくなる。私は、個人的にはレンズフードは撮影時には大抵邪魔になるし、使用しない。

注目すべきは、このレンズを初めて使用した際に、被写体にピントを合わせた後にフレームがジャンプすることに気がついた。これは、手ブレ補正機構のメカニズムと何らかの関係があると想定したが、使用開始数日後には確認されなくなった。

左から右へ:ニコン24-70mm、タムロンSP 24-70mm、初代のタムロン28-75mm。
タムロンのレンズは、ニコンのレンズよりも短く、少し幅があり、ニコンのものの90%の重量に抑えた。

拡張すると違いはそれほど大差ない。また、タムロンの左側にあるスイッチが突き出ているため、取り扱いのところにも書かれてあるように取り外しがやや難しいことにも気が付く。

操作性

タムロンがズームリングとフォーカスリングの位置順を変えたことに少し戸惑ったが、特に問題ではない。ズームリングは約3.8cmと大きく、しっとり感がありやや硬く回しにくく感じる。初めは、気が付くとレンズロックが作動しているのかと確認していたものである。しばらく使用して慣らした後はそれでも多少硬めだが動かしやすくなる。

ズームリングと反対に、フォーカスリングは幅が細くなり、シルクのようなスムーズな仕上がりである。マニュアルフォーカスモードの設定で、このリングを用いて簡単にピントを合わせる過程を楽しんだ。オートフォーカスとVCのスイッチは、ニコンレンズのスイッチよりも目立たないものであるため、この点はニコンの方が操作が容易いと感じる。スイッチがレンズの取り付け口寄りにあるため、指の太い人にはレンズのカメラからの取り外しが少し難しいであろう。

画質

画質はかなり優秀である。前述したように、ニコンレンズはメンテナンスが必要な状態であったので、比較することはできなかったが、なるだけ早く直接比較をする予定であり、その際にはサンプルイメージも付ける予定である。このタムロンレンズは、画面中心付近も周辺部もかなりシャープな画質であり、素晴らしい出来栄えである。絞り開放の設定でも、このレンズの出来栄えは素晴らしい。中くらいの絞り設定であっても絞り値による画質変化を見分けるのはとても難しかったことからも、どの絞り設定においてもシャープさのバランスが取れていることが分かるだろう。レンズの焦点距離を70mmにした際にはシャープさ加減が急に落ちたが、それでも画質としてまだまだ問題がない。

24mm

控えめな樽型歪曲が解放絞り付近で見られたが、撮影後の加工プロセスで修正可能であるか検討しようと思う。(私はニコンのソフトを画像加工に使用したが、タムロンのレンズ向けのソフトを使用したらこの歪曲を修正できるかもしれない。)このレンズはF5.6くらいまで絞った際に中心付近が最もシャープであり、絞りをF8~F11にすると周辺部が最もシャープになるようである。このレンズはどの絞り設定においてもかなり素晴らしい出来栄えであったが、特に絞りF4~F11で素晴らしかった。最も小さな絞り設定でも回折により画像のシャープさを損なうこともなく、最も大きなピクセルに拡大して確認しなければわからない程度である。最も大きい絞りで撮影しても画面周辺部は多少ソフトな印象になるがそれでも問題なく、なかなか良い。

50mm

焦点距離50mmも似通った結果であるが、唯一異なる点は、僅かであるがピンクッション歪みがみられたことだ。画面中心部のシャープさは素晴らしく、皮肉にも絞りF8よりも絞りF11の設定の際に中心部が部分的によりシャープであるようだ。画面周辺部はF11まで絞った際に最もシャープであった。僅かであるがピンクッション歪みがみられる。

70mm

焦点距離70mmでは、出来栄えは多少落ちるようだが、それでも特に問題ないものである。少しピンクッション歪みもみられた。絞りを解放すると、画質は素晴らしいとはいえないが、絞りF4~F11の設定で最もシャープに仕上がるようである。絞りF16では回折がよりはっきりと確認できるようになり、F22ではかなり明確である。F11~F16の絞り設定で画面周辺部が最もシャープであり、F2.8~F8の絞り設定では他の焦点距離の際と比較して、あまり輪郭のはっきりした画質にはならないようである。

オートフォーカス(AF)

オートフォーカスはなかなか素早く正確であるが、ニコンのものよりも幾分遅い。驚くほどのスピードは期待しないでほしいが、オートフォーカスの役割をほぼこなすことは確かである。操作音は静かであり、ピント合わせにもほとんど時間がかかることがなかった。このレンズはオートフォーカスのオーバーライドを特色としており、焦点を被写体に固定した後でも、焦点を簡単に調節できる。やり方はフォーカスリングを回すだけである。オートフォーカスが機能している間はフォーカスリングが回せない。

一点注意しなければいけないのは、このレンズは可変焦点レンズのようであり、つまり、焦点が焦点距離により変化するということである。ズームインして焦点があっていることを確認してからズームアウトして撮影をおこなう写真家は、この方法を使って撮影できないということである。

手ブレ補正(VC)

手ブレ補正は効果があるようだ。私の比較テストでは、手ブレ補正機構の有る無しの結果をはっきりとさせるために極端な条件で撮影したことを先に触れておきたい。焦点距離70mmで、速度6分の1秒で撮影したところ、手ブレ補正機構をオンにしてもまだぼやけた結果ではあったが、それでもオフの際との違いは昼夜の差ほど明らかであった。テスト結果の画像を100%の切り抜きで比較することで手ブレ補正の効果をはっきりと示すことができる。

手ブレ補正機構オン(100%の切り取り)

手ブレ補正機構オフ(100%の切り抜き)

ボケ効果(背景のぼかし)

このレンズは美しいボケ効果を作りだすためよく使われる円形絞りを採用し、これを9枚の絞り羽根で構成することを特徴とする。ボケ効果は主観的なものであるので、ぼかしがどのように表現されているかどうか、読者それぞれに判断いただきたいと思う。私は、イメージの背景にある不必要な要素を上手にぼかせていると評価する。

焦点距離は最短の24mm、絞りF2.8(クリックで拡大します)

口径食

解放F値では口径食がはっきりと確認されたが、絞り値を大きくすることで比較的すぐに現れなくなった。F4くらいまで絞ると口径食は現れなくなったが、もし読者の中に口径食をコントロールできるカメラを持っている人がいたら絞りが解放値のF2.8であっても特に問題ないであろう。技術の進歩は素晴らしい!しかしながら、修正しなければ口径食がはっきり現れるのでご注意を。

絞り値F2.8での口径食

絞り値F4での口径食

Chromatic Aberrations 色収差

多少の色ぶちは極端な撮影環境では起こりうるが、このレンズはかなりうまく補正する。色収差を引き起こすような撮影環境であっても、私は迷わずF2.8で撮影をおこなうだろう。

色収差がよく補正されている。右のハイライト部分にほんの僅かであるが色ぶちが確認できるだろう。(100%切り抜き)

総合評価

タムロンレンズはニコンの1886.95米ドルよりも600米ドル程度安いが、値段で安い分、品質で妥協しているわけではなく、更に手ブレ補正機構まで付いてくるのだ。これはフル装備の携帯用標準ズームレンズの広告塔である。私が唯一、不満に思う点は、ズームリングの操作時の硬さと、焦点距離を長く70mm側で撮影する際に多少画質が落ちることである。ソフトを用いて修正すれば固有の口径食や歪み等も修正でき、特に深刻な欠点はない。このレンズは読者達の将来の主要レンズとなる可能性が高く、対抗モデルと比較をした際にも、お買い得であると言えよう。もしこのタイプのレンズを探していたのであれば、是非お試しいただきたい。

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Kenji Yamamura
大学卒業後証券会社を経て、ウエディングギフトサービス企業を友人と創業し、中国のバイオテクノロジー企業の経営に携わる。2010年より渡米。ハルト・イ ンターナショナル・ビジネススクールで MBAとファイナンスのダブルマスターを取得。ア メリカの広大な景色に刺激を受け、風景写真において重要な撮影場所を共有するサ ービス「パシャデリック」を開始。PASHADELICの創業者であるとともにアウトドアフォトグラファーでもある。