70-200mm F/2.8レンズは、主にポートレートレンズとしての多用途性が好まれ、多くの写真家の間で定番となってきた。解放絞り値が小さく固定され、比較的広いズーム域を持ち、このクラスのレンズは、背景の不必要な要素をぼかすことができ、不自然な被写体のゆがみ等も防げるため、ポートレイト写真家にとって頼れるレンズであった。

風景写真家は望遠レンズをあまり使用しないが、パシャデリックの春の写真コンテスト2014で5位に入選したクシシュトフ・ブラウコ氏(Krzysztof Browko)が彼の作品を持って証明するように、望遠レンズを用いた写真は素晴らしいものになり得る。タムロンの「SP 70-200mm F/2.8 DI VC USD」は、より高価なレンズのように手ブレ補正に対応した「手ブレ補正機構(VC)」を搭載した全く新しいレンズです(ソニー用はボディー内に手ブレ補正機能を搭載しているため、VCは搭載していません)。これまでになかった新しい光学技術と防水技術も加えて、タムロンは腕によりをかけて大手メーカーに対抗している。

参考:ニコンのD800Eボディを使用し、当レンズのニコン用を装着した。全てのテストに関するイメージは、RAWデータで撮影したものをLightroomに取り込み、初期設定のまま、シャープ等の変更を加えずにJPEGデータに変換したものである。

デザインと操作性

1,400グラム以下の重量と、レンズは決して軽くはないが、至って扱いやすい。もしあなたが2.2キロ程度のラップトップを重たいと思うようであれば、このレンズはあなたに適さないかもしれない。私がこの点を強調するのは、最良の望遠レンズを買い求める多くの経験の浅い写真家は、望遠レンズの重さやその重さが撮影のプロセスに与える影響についてぜんぜん理解していないからだ。このレンズは頑丈で、ニコンのレンズとよく似た高品質のプラスチックの仕上げを持つ。三脚座は良質の陽極酸化金属でできているが、この部分が少し短いために自分の保有する三脚ヘッド(マンフロット)と組み合わせることが難しい。三脚座部分がもう少し長ければと思う。このレンズを三脚に三脚襟を利用して取り付けたところ、バランスがよく安定しているようだ。このレンズの姉妹品である24-70mmが82mmという特殊サイズのフィルターを必要としていたのに対して、このレンズは一般的な77ミリフィルターが使用できるところは気にいっている。レンズキャップはピンチタイプのもので、十分に指が入るスペースがあり、取り外ししやすい。気前よく花型のレンズフードも付属品でついてくる。

このレンズを装着するとD800が小さく見え、またレンズ部分の前方に重心がくることが判明。しかし、三脚に乗せるとバランスは安定する。

D800にレンズを装着して手持ちすると、レンズ部分の前方に重心を感じるが扱いやすい。両手を使い持つ際には特に持ち心地がよい。ズームリングは約3.8cmと大きく、フォーカスリングは約1.27cmと比較的小さい。ズームリングはしっとりと滑らかである。フォーカスリングはしっとり感はないが、スムーズで楽に動かすことができる。全ズーム範囲を4分の1以内の回転で得ることができる一方で、最小のフォーカス(約1.31メートル)から無限フォーカスまでの変更には180度に近い回転を必要とする。このレンズはインターナルズームと前面のフィルター部分を回転させることのないフォーカス、というフィルター利用者に好まれる2点を特徴としている。スイッチは届きやすく操作もしやすい。このレンズは同様のレンズを使用し慣れている人にとっては素晴らしい使い心地であろう。

スイッチは届きやすく操作もしやすい。しかし、三脚座は多少短い。

画質

全般的にこのレンズで撮影した画質はとても良好であると感じる。どのズーム域においてもゆがみはわずかであり、色収差も最小限にとどまり(容易に修正可能である)、鮮明度が高く、美しい色やコントラストを再現することができる。イメージのシャープさは焦点距離を延ばすほど落ちるようであるが、このレンズはそれでも極めてシャープなイメージを提供する。レンズをテストする際に、絞り値の違いによる画質の違いを試そうと、異なる絞り値、主に絞り値F2.8、F4、F5.6、F8、F11、F16、F22を用いて撮影をおこなった。絞り値F5.6が、テストをおこなったすべての焦点距離において全体的なシャープさという点で、最適な設定のようであった。全てのシャープさの比較検討について述べるのは読者にとって退屈であろうので、いくつかの写真を掲載し、異なる焦点距離における私の簡単な記録を加えておこうと思う。

70mm

僅かながら、たる形歪曲があり、イメージ周辺部には目立った色収差が確認されたが、絞り値をF5.6より大きくすると確認できなくなった。70mmはシャープさのある広角なイメージを提供し、イメージ周辺部の歪曲や色収差は許容範囲である。絞りをF4に設定すると画面中心付近にシャープさが欠けることを確認したが、それでもまだかなりシャープである。全体的なシャープさを増大すると、イメージ周辺部のシャープさも同時に大きく改善される。レンズは絞り値F11までかなり高いシャープさを保つが、その後は大きな回折が確認される。70mmには、絞り値F16が限界であり、絞り値F5.6が最も最適な設定であると言えよう。

100mm

僅かであるがピンクッション歪みがあるが、70mmの際に確認された色収差はなくなった。焦点距離70mmの時の全ての絞り値のイメージと比較して、100mmでは多少シャープさが減った印象を受けるが、まだまだ非常にシャープであると言えるだろう。絞りを変化させると70mmの設定の時と同様の反応があるようだ。絞りF2.8~F4を利用するとイメージ中心部が最もシャープであり、絞りF5.6を利用するとイメージ周辺部もシャープであり最適であり、絞りF11以降は大きく回折が確認される。

135mm

135mmでは、レンズは絞りを効かせた方がよりよい効果が得られるようである。イメージ中心部のシャープさは絞りF5.6が最適であるが、イメージ周辺部は広角な設定だといま一つであり、絞りF4の設定で素晴らしく改善され、絞りF5.6で最適なシャープさが得られる。絞りF11を利用すると回折により画像のシャープさが急に落ちるため、イメージ周辺部の画質という点からF11が限界と思われる。

200mm

イメージのシャープさは200mmの際に最も落ちるようである。F4~F5.6の設定がイメージ中心部に一番のシャープさをもたらす。周辺部は少し色ぶちも現れたり、シャープさに欠けるようである。そうは言うものの、200mmを使って撮影したイメージは美しく良好であることを注意いただきたい。絞りF8~F11は周辺部までも一番シャープなイメージを作りだす。絞りはF16でも使用可能なイメージを作りだすが、F16より小さいものは薦めない。

オートフォーカス

オートフォーカスモーターは極めて静か且つスピーディーであり、これまでのところ問題なし。スピードに関しては特に不満に感じたことがない。被写体に狙いを定めた際に、ビューファインダーのイメージが時々少し「ジャンプする」と自分は感じる。これは、VCを使用しているが、イメージには反映されていなかったからだと思う。多くの最新のレンズと同じように、このレンズはマニュアルのオーバーライドオートフォーカスを特色としており、焦点を被写体に固定した後でもフォーカスリングを回すことで再調整することができる。

手ブレ補正(VC)

望遠レンズはカメラの振動を大きく見せてしまう傾向にあり、望遠レンズに手ブレ補正機構を組み込むことは、特に手持ちで撮影をする人のためにはとても大切である。タムロンは手ブレ補正機構を売りこみ、最大4段分の手ブレを補正するというが、私は3段分というのが確実なところではないかと思う。200mmで1/20秒で撮影し、高い成功率を得ることができる。

ボケ効果

多くの絞り値F2.8の望遠レンズと同じく、このレンズも美しいボケ効果を作りだす。このレンズは背景にある不必要な要素を目立たないようにすることができるが、絞り羽根9枚構造であり、驚くべきことではない。

背景にあるシャープな線が多少ソフトになった。

ゴースト/レンズフレア

同じカテゴリーの多くのレンズと同じく、カメラフレームのすぐ外側に太陽が位置することでフレアが容易に生じてしまう。また、かなりのゴーストが生じるようであり、このレンズを用いての直射日光の下での撮影は難しいかもしれない。

色収差

このレンズは色ぶちをうまく補正する。前述したように70mmと200mmの焦点距離で広角絞りの際のみ色収差が確認されるが、これらの色ぶちもそんなに目立つものではない。

焦点距離70mm、絞りF2.8で撮影したイメージ周辺部の切り抜き(100%サイズ)。ウェブ上で見ると、ほとんど気がつかない。

総評

ニコンやキャノンを超大手に成し得た全ての素晴らしい特色とは言わないが、タムロンも多くの素晴らしい特色を持っている。画質は素晴らしいものであり、ただキャノンやニコンのものとは比較にならないと思う。このレンズは操作性も良く仕上がりも良くプロレンズとして必要なものを全て兼ね備えている。フルフレームカメラにもクロップフレームレンズにも装着した心地も良い。タムロンの新しい70-200mmレンズ、「タムロンSP 70-200mm f/2.8 Di VC USD」は「タムロンSP 24-70mm F/2.8 Di VC USD」と共に、予想以上の成績を収めるレンズであることを証明した。1,500米ドルという金額は、キャノンやニコンの同等品がどちらも2,400米ドル程度することと比較をするとかなりお買い得である。タムロンが超広角レンズを作りだし、ニコンレンズの「三位一体」と呼ばれるレンズに対抗しフルラインアップでレンズを販売する日を待ち望んでいる。